これでいいのか？「社会保障議論」

2012年05月25日

マサノリ元気通信　号外版　　　　　　　　　　　　　　社会保障問題PART７

これでいいのか！？「社会保障議論」

―財政再建議論はまるでなし。日本の国債はさらに格下げに―

○ねえ、マサノリさん・・・

「年金はしっかりもらいたいけど大丈夫？」

「上げた消費税をどのように使うの？」

「若い人たちにしわ寄せが行くんでしょ？」

「景気が良くならなければ何をやっても駄目！」

　など、社会保障と税の一体改革の議論に対する

国民の関心は日に日に高まっています。

この際、改めてその内容をおさらいします。

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「プラスの５％分はすべて社会保障財源に」

現在、国会では消費税率の引き上げを柱とする「社会保障都税の一体改革」関連法案の審議が行われています。これによれば、まず２０１４年４月に消費税を８％に引き上げ、さらに２０１５年１０月から１０％に引き上げるものです。

段階的という政府の説明はあるものの、その間はたったの２年。そして、５％引き上げによって生じる約１３，５兆円の税収は、すべて社会保障費維持のための一部に充てると、政府は説明しています。もう少し踏み込んでみますと、現在消費税を充てている高齢者の３経費「基礎年金・老人医療・介護」を、社会保障の４経費と改め、「年金・医療・介護・子育て」に広げるというものです。

更にその詳しい内容は、１％分の２，７兆円を入院医療体制の強化と在宅医療・介護の強化に充てると説明しています。そして、残りの４％の１０，８兆円は、

年金の国庫負担分（１/２）へ約３兆円、その他約７兆円を高齢化に伴って自然増で膨らみ続ける既存の社会保障費などにまわすということのようです。

「景気への影響に伴う財政安定化策は？」

そもそも、消費税で社会保障費を賄おうとするのは「税収が比較的安定しているから」「働く世代など特定の人に負担が集中せず、公平性が高いから」などの理由からですが、景気への影響を政府がどのように考えているのか、率直で具体的な説明が見えてきません。深刻なデフレ状態が続く中での増税が与える影響は計り知れず、国民の不安は拭えないのではないでしょうか。ですから、欧米の格付け会社が、この５月２２日に日本の円建て長期国債の格付けを１段階下げるに至ったのです。今や日本は韓国・中国に抜かれたのは当たり前で、下からはカンボジアが迫ってきている状況です。格が下がった理由は、「今行われている消費税と社会保障の国会審議には、財政再建に向けた切迫感がゼロ！」という手厳しい理由からです。この事実に政府は何を感じるのでしょうか？

「危なかった消費税の地方配分割合」

現在、５％の消費税は国税として４％、そして地方が自由に使える財源としての１％に分かれています。（実際には一度国に入った消費税も「地方交付税」として地方に戻ってくるため、実質は２，１８％が地方分となっています）。この度の一体改革議論では、地方が自由に使える財源である１％分が削られる予定でしたが、これに地方自治体が猛反発。結局、地方の自由裁量で使える１％分は残った形になりました。「地方主権の時代」とか「地方が主役」とか「地方が元気にならなければ国の未来はない」などと簡単にお世辞は言うものの、相変わらず国・省庁・官僚が膨大な権力を握る構図は何も変わろうとしていません。３年前に「官僚から政治を奪い返す」「役人主導から政治主導へ」と言って政権交代した政党は、どこの国の政党だったのでしょうか？

「地方の財源安定のための工夫を」

今後、税収の大きな伸びが期待できないのなら、地方公共団体はせめてその財源や税収の安定性を考えるのは当然の成り行きと言えます。今、提案しているものは、消費税の地方分と法人２税（事業税・市民税）を交換しようとするものです。そもそも法人税は、景気の波に大きく左右されやすいものです。

よって、窓口になっている地方公共団体にとっては、法人税収の増減によって自治体の運営や市民サービスの提供の仕方に大きな影響が出やすいため、悩みのひとつになっているのです。この変動が激しい法人税関係は国が担当する。そして、比較的安定的な財源が期待できる消費税の地方分と税源交換する。

これが現実的施策ではないでしょうか。